福祉のしごとの現場をリアルに知ろう
◯福祉のしごとセミナー
介護のしごとのホントのところがよくわかる
福祉のしごとは大変?実際にはどんなことをしているの?お給料は?お休みはとれない?
興味はあってもなかなか本当のところはわからないのはどんな仕事でも同じです。千葉県福祉人材センターでは、就職を考えている方々を対象にして、1月29日に福祉のしごとセミナーを開催。実際の状況を語ってくださったのは、社会福祉法人寿陽会の職員加藤幸夫さん。加藤さんはご自身もこの道18年のベテランで、介護支援専門員などの資格を持ち、現在はケアマネージャーとして働いていらっしゃいます。福祉関係の大学での講師も務められており、福祉の現場の実情と、就職を目指す人たちの状況を知る立場から、興味深いお話を聞かせてくださいました。
ポイントは
・時間
・お金
・やりがい
の3つ。
今回はその内容を簡単にご紹介します。
夜勤はつらい?お休みはとれる?
福祉施設は利用者さんが24時間、日常を送っている場所。そのため施設自体にお休みはありません。法人や施設ごとに細かい条件は異なりますが、夜勤や早番、遅番を組み合わせたシフト制で職員の皆さん働いています。
では実際にはどのようなスケジュールになるのでしょうか?加藤さんは寿陽会の方の実際のシフトデータを提供してくださいました。夜勤明けから公休が2日続き、翌日が遅番の場合は3連休以上の続いたお休みが取れるなど、シフトの組み方次第では意外な利点があることも。また一般的な企業とは違い、平日に公休が入るため、通院や子どもの学校行事などの場合に休暇を取る必要がないというケースもあり、それぞれが自分に合った働き方を模索できるということがわかりました。
最近では子育て世代や中高年の方がパートタイマーとして「子どもが学校に行っている間のみの4時間」「午前中は家のことをして、午後から出勤して5時間」など、施設と相談しながら仕事をする人も増えているのだとか。
「求人票には書いていないかもしれませんが、施設に問い合わせてみると対応してくれることが多いです。これは24時間人手を必要としている福祉のしごとならではです」と加藤さん。働き方改革も進む昨今、自分らしい働き方ができる一つの選択肢となっています。
給与面でも処遇改善が進む
これまで福祉のしごとは3Kと言われていて、待遇が悪いものだというイメージがありました。しかしこれからの時代に絶対に必要となるエッセンシャルワーカーであるということで、国も改善に力を入れています。
2009年頃から交付金などの取組が行われるようになり、介護職員処遇改善加算の拡充も行われてきました。2022年には介護職員ベースアップ加算が実施され、勤務年数10年以上の介護福祉士に月8万円相当の処遇改善が行われています。
加藤さんは「何より国が常に気にかけて改善を進めようとしているという事実があります。それは絶対に必要な職種であると認められているということなんです」とのこと。
もちろん求人票を見る際はどのような手当てがあるのか?有給休暇はどれくらいあるのか?というところもしっかり確認して、給与とのバランスを見ることが大切です。
人や社会の役に立てる誇らしさ
介護のしごとの魅力を加藤さんは「やめられないとまらない…というキャッチフレーズのお菓子のよう」と、冗談を交えて話します。
入職されている方々は「働きがいがある」「資格や技能が活かせる」「人や社会の役にたちたい」と考えている方が多いというデータも出ています。利用者さんの人生に関わらせていただくという意味でも、対応方法や取り組み方は利用者さんの数だけあると言えるでしょう。
加藤さんはご自身が関わられた方々のエピソードも具体的に話してくださりました。
支援をしているようで、実は助けられていることもたくさん。感謝し、感謝されるしごとというのも、福祉のしごとの魅力のひとつではないでしょうか。
◯福祉のしごと就職ガイダンス
セミナーと同時開催された就職ガイダンスでは、4つの法人の方々からそれぞれの特徴やポイントをお話いただきました。
【高齢者施設への就職について】
社会福祉法人千歳会 特別養護老人ホームちとせ稲毛
副施設長の谷川誠さん
「個性豊かなお年寄りと一緒に過ごす時間は、その場に居合わせないとわからないような面白い出来事もたくさん。同時に高齢者の施設であることから利用者さんの「死」は避けて通れない出来事。新人で夜勤に入るときなどは、不安な気持ちになると思います。慣れるまでは大変ですがそれだけ自分の心も豊かに成長できます。興味があるなら問い合わせるだけでも構わないので1歩を踏み出してみてください」
【障害者施設への就職について】
社会福祉法人父の樹会 あけぼの園
管理者 小柴友幸さん
「障害にはいくつか種類がありますが、あけぼの園は知的障害のある方の施設。生産作業を行ったり、余暇を楽しんだりしていますが、基本は“何かをしてあげるのではなく一緒にやる”というスタンスです。仲間として働き、苦手なことを補い合い、社会参加もしていくという考え方ですので、特別なことは何もありません。障害者の方にもそれぞれ夢があります。その実現に向けて、一緒に歩み、喜びを共有できる仕事です」
【児童福祉施設への就職について】
社会福祉法人さざんか会 とらのこキッズ
施設長 中川公二さん
「石の上にも3年と思って始めた仕事ですが、気づけば30年以上です。それだけ続けられているのはこの仕事に“魅せられた”から。とらのこキッズは心身の障害や発達に支援が必要だと思われる子どもたちへの療育活動を行う通園施設です。問い合わせてくださる方には必ず一度見に来てくださいとお願いしています。働いている人の表情、どのように利用者さんと関わっているかをぜひ見ていただきたいと思います」
【採用担当者からのアドバイス】
社会福祉法人千葉県福祉援護会 誠光園
中村正教さん
「福祉のしごとをするために大切なのは動機。自分のために仕事していると、どこかで辛くなってくるものですが、困っている人を助けたいという思いは何よりもモチベーションになります。また福祉のしごとは種類もさまざま。ミスマッチを防ぐためにも将来的なビジョンは持っていたほうが良いと思います。近年は働き方も多様化しています。子育て世代やシニアなども力を活かせる場所がたくさんあります。就職を考え始めたら、求人票だけではなくぜひ施設を訪れてみてください」
福祉のしごとセミナー、福祉のしごと就職ガイダンスは定期的に開催しています。
就職を検討中の方はぜひご参加ください。
<お問合せ>
ご不明な点があればお気軽に千葉県福祉人材センターまでお電話ください。
(TEL.043-306-1277)