従業員の職場定着を図るための方策
人材確保や職員の離職防止のために
新型コロナウィルス感染症の拡大など様々な リスクと向き合わなければいけない昨今。働き方改革関連法の改正などもあり、人材確保や従業員離職防止のために取り組まなければならない課題は数多くあります。そんな中で、従業員が「働き続けたい職場」とはどのような職場なのでしょうか。
労働関係法令を遵守して、従業員の職場定着を図るためには何が必要なのか、どのような職場環境の改善が必要なのかを考える機会 として、 社会福祉施設経営者・管理者の方々向けに、オンラインでのセミナーを開催しました。
講師は全国社会保険労務士会連合会理事や全国社会保険労務士厚生年金基金学職経験顧問などを務めるNPO法人セカンドスペース理事の浅香博胡さん。日本紙通商株式会社総務部および人事部で43年に渡って経験されたさまざまな事例も含めて、講義を行っていただきました。
最近の雇用環境と法令の動きを知る
まずは現在の日本における雇用の状況を知ることから。主にこの3年間の完全失業率や有効求人倍率をデータで紹介。新型コロナウィルス感染症の影響などで3年前には悪化したものの、その後やや持ち直し現在は横ばい。現在は改善傾向にあることなどを知った上で、就業形態による賃金の状況などについても具体的なデータを見ながら現状について確認しました。
こうした中、この4月からは出産育児一時金が引き上げられたり、給与受け取り方法として現金や銀行振込以外に4月からはデジタルマネーでの受け取りも可能になったりするなど、社会的な背景を反映した興味深い法令の動きがあることを紹介。
また、各企業にはその規模に応じて、
・中途採用比率の好評義務化
・男女賃金差
・男性の育児休業取得状況
・兼業・副業の情報
などを開示することが義務化されているとのこと。働きやすさを追求する上で、さまざまな角度から法制度も整えられているようです。
働き方改革関連法と成功事例
特に働き方改革関連法については、年次有給休暇年5日の時季指定付与義務により、若者の有給休暇取得を推進や、フレックスタイム制の清算期間の見直し(清算期間を1ヶ月から3ヶ月に延長)によって、育児世代が夏休みに時間を取りやすくするなど、各世代が休暇を有効に活用できるような工夫があることがわかりました。
これ以外にも、勤務間インターバル制度(長時間残業があった場合に翌日の始業時刻を遅らせて休息時間を確保)、労働時間の状況の把握義務は管理監督者も対象となること、産業医の活動環境の整備をして長時間労働者の健康管理を適切に行うことなど、あらゆる働く人の健康確保が重視されているということです。
こうした法令を遵守しながら、実際にどのように働き方を改革していけばよいのか?
トップが労務状況をしっかりと把握しメッセージを発信する必要性、面談の実施や業務の洗い出しを行うことの大切さなど、実際に各事業所でも取り組み可能な方法をレクチャーしていただくことができました。
中には、退職者に対して登録制度を実施し、育児休業中の欠員を補うような再雇用制度の方法など、講師の浅香さんが実務として行ってきたアイディアも。事業所の状況に合わせた柔軟な形での対応の必要性を感じます。
今すぐできる職場環境改善
誰もが「働きやすい」「働き続けたい」と思える職場づくりについては、法令関連のみではなく職場ごとの努力が必要です。
一例として、モチベーション向上につながるような表彰制度の設立で自分を見つめ直す機会をつくったり、財形貯蓄制度の導入、心身の健康づくりや余暇活動への支援を行って福利厚生を充実させたりすることが有効です。
またさまざまな制度を設立した後は、その検証を行うことも重要。定期的に人事に自分のことを報告できる自己申告書の作成、上司の日常行動や職場環境について報告できるシートの作成など、フィードバックをしっかりと行ってこそ意味のある取り組みと言えるようです。
講義の最後には受講申し込みのあった方から事前に寄せられた質問への回答も行い、充実した90分間の講義となりました。
千葉県福祉人材センターでは、さまざまなセミナーを開講しています。今回のような法令に関連する、管理者向けのセミナーも予定していますので、ぜひ受講をご検討ください。
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