中堅管理者の方々を対象にしたスキルアップセミナー

心をつなぐためのスキルを学ぶ

さまざまな施設で働く中堅管理者の方を対象にしたスキルアップのためのセミナーが、2月8日・9日と二日間にわたって実施されました。今回はZoom Meetingを利用したもので、それぞれの職場などからオンラインで参加していただきました。
講師はNP0法人セカンドスペース理事長の成瀬榮子さん。成瀬さんは上級教育カウンセラーや心理検査士の資格も持ち、千葉県子ども・若者総合相談センター「ライトハウスちば」主任相談員も務めています。
受講者の皆さんは事前に配布されたテキストをプリントアウト。成瀬さんの講義を聞きながら、実際にワークシートの記入などを行ったり、それぞれの困りごとを話し合ったりと、充実したセミナーとなりました。

子ども時代までさかのぼって自己分析

中堅管理者の方々は、「上司と部下の間で板挟みになっている」「現場の仕事をしながら事務処理なども行っており多忙」「若手育成の方法について悩んでいる」など、仕事に自信を持ち、やりがいを感じている一方で精神的な辛さを抱えている方が多いのが実情です。
こうした状況に対応していくために必要なことは、まず「自分を知る」こと。人は誰しも、子どもの頃からの人生経験から無意識のバイアスが生まれています。こうしたことを理解し、自分を正しく知ることが大切だと成瀬さんは語ります。
研修は、まずは自己分析を行うための「自分の生育歴の作成」から始まりました。
たっぷりと時間を取り、ワークシートに、
・1番小さいときの思い出
・1番苦しい嫌だった思い出
・1番心の休まること
などたくさんの項目を書き出しますが、そのためにはじっくりと自分の過去と向き合うことが必要です。また、幼稚園や保育園から小学校、中学校、高校など、それぞれの年代で周りの人にどんなことを言われたか？その時どのような感情だったか？なども具体的に書き出しを行いました。
　こうした自己分析から、見過ごしがちな自分の本来の性格や考え方の傾向などがわかってきます。
　「このようなことを思い出し、文字にすることは殆どないと思いますが、とても大切なことです。自分の宝になると思いますので、ぜひ持ち帰って大切に保存してください」と、成瀬さんは穏やかに語りました。

「自分の生育歴・トリセツ作成」で、自分と向き合う

こうした分析は細やかに進み、「仕事スキルの棚卸」として、
・遅刻をしない
・仕事をする体力がある
・時間を守って作業ができる
など、さまざまな項目のチェックも行いました。これは、自分自身の評価に合わせて、部下に身につけておいてほしい仕事上の最低限のスキルとしてその重要度を5段階で洗い出していくものです。
　こうした作業を通し、自分自身のトリセツを作成。どんなときに腹が立つのか？どんなことに悲しくなるのか？などを客観的に知り、自分の強みや弱み、問題解決の方法などを理解していく作業を行いました。
　研修では参加者の方の具体的な体験などにも耳を傾け、参加者同士でアドバイスをし合うなどの時間も設けました。これらの会話を通し、各施設でのミーティングや研修会などを行う重要性、相手から話を引き出すコーチングの大切さなども学ぶことができました。

「怒りを安心へ」その手法を学ぶ

　上手く行かないことに苛立ったり、腹が立ったりすることは誰でもあること。二日目はこうしたストレスにどのように対処したら良いのかを、科学的な見地からの資料なども見て学びました。気持ちを引きずらずに切り替えること、自分を大切にすることで人にも優しくできることなどを知り、「５つのステップGRACE」という言葉で、ポイントをレクチャーしていただきました。
　その後、認知行動療法ワークを使用して、参加者の方々には具体的な事例を発表していただき、お互いが考えを発表するなど、ディスカッションも実施。
　その後、事前に寄せられた悩みや職場の問題点などについても成瀬さんからコメントをいただき、困りごとの共有と講義の振り返りをしっかりと行い、二日間の日程は終了しました。
　人は全員違って当たり前、一人で抱え込まず会社の問題は全員で取り組むこと、問題解決のためにはメリットとデメリットを洗い出すことが必要、など、心の支えになることから具体的な取り組みまで知ることができる有意義な時間となりました。

　千葉県福祉人材センターでは、キャリアに合わせたさまざまなセミナーを開講しています。仕事のヒントとなることもたくさんありますし、他の施設の方々の考えややり方を知るきっかけにもなりますので、ぜひ受講をご検討ください。